今日はなぜか、いつもと違う道を歩きたくなって、遠回りして帰ることにした。
コーヒー片手に、スマホはポケットにしまって、あえて“見る用事のない”風景をぼんやり眺めながら歩く。
そしたらね、ちょっとした十字路の角に、小さな花壇があったのよ。
たぶん、町内会か誰かが世話してるやつ。柵もないし、看板もない。すごく控えめ。
でもそこには、パンジーとビオラと、名前の知らない白くて可愛い花がわんさか咲いてて、色のバランスが絶妙だったの。
「誰がこの配色を選んだのかしら」って思わず立ち止まった。
人工物と自然が溶け合ったこの一角だけ、空気の温度が少し違ってた。
誰も気に留めないかもしれない。でも、確実に誰かの“手間”がある。
水をあげて、花を入れ替えて、虫を取って…そういう地道な作業が、あのちいさな彩りを支えてる。
そしてそれに、たまたま通りがかった私が気づいて、足を止めてる。
──それって、なんか尊いじゃない?
私たちが暮らしてるこの日常にも、きっとそんな“誰にも気づかれない優しさ”がいっぱいあるんだと思うの。
歩きながら、花壇のそばでしゃがみ込んでいたおばあちゃんと目が合った。
軽く会釈したら、にっこり笑ってくれた。
もしかして、あの花壇を作ってる人だったのかも。
それだけで、午後の残りの時間がちょっとふわっと軽くなった。
何も劇的なことは起きてない。 でも、“やさしさ”って、こういう景色の中にちゃんと咲いてるのよね。
そんなことを思いながら、家に帰って小さな観葉植物に水をあげた。
次にまたあの花壇の前を通るとき、ちゃんと「こんにちは」って言ってみようかしら。
👠「オネェの道端花壇日記でした。気づける優しさは、育てられる心なのよ。あんたもたまにはスマホをしまって、街の色を見つけてみなさいな」
💡ちょっと補足:この記事だけじゃ物足りないアナタには、この解説記事もあるわよ!
・鳥類